前回『退職して変わったこと パート①お金の話』の続きになります。
今回お話しするのは、私が退職を躊躇していたもう1つの理由、『社会的信用(ステイタス)を失うことへの不安』についてです。
私は会社に属することで、必要以上の恩恵を受けてきたと自覚しています。会社の一員(社員)であるという肩書がどれだけ影響力のあるものか実感していたのです。そのため、退職することで、自分がちっぽけな人間になってしまうような気がしていました。『社会から取り残されてしまう、周りの目が怖い…』退職してからも、不安な気持ちを抱えていました。仕事ばかりしてきた10数年間でしたので、他に取り柄が思い浮かばず、自信を持てずにいたのです。
そんな不安を解消してくれた大きな転機は、海外生活でした。結婚して間もなく、配偶者の仕事に合わせて転勤することになったのです。
私のことを知らない人たちの中で生活することは、想像以上に居心地のいいもので、とても自然に『何にも属していない自分』を受け入れることができました。
国によって程度はあると思いますが、海外に行くと、とても開放的な気分になれますよね。私自身、会社員時代から海外旅行を好んでいたのですが、その理由の1つが、『ストレス発散』。日常とは180度変わった景色、環境に身を置き、新しいものに触れることは、とてもリフレッシュになっていました。
私が住むことになったメキシコは、とても楽天的な方が多い場所で、仕事ばかりしてきた私にとって得るものが多い刺激的な国です。
『将来のことを心配して、仕事に明け暮れるより、大切な家族との時間を大切にすべきだ』と皆が口をそろえて言います。実際、家族のために休暇を取ったり、職を変えることなど珍しくありません。仕事より家族のお祝い事を優先します。
また、他人の過去に興味がなく、大切なのは『今』という考えを持っている人が多いです。
そもそも、あらゆるものはみんな異なって当たり前。メイクや服装、趣味や特技、ライフスタイルや価値観を周りに合わせたり、取り繕うとする人はいません。彼ら・彼女らと接することで、他人と比較することに意味はないと思えるようになりました。
周りの目を気にせず、情報に左右されず、時間をかけて今後の生き方を考えられたことで、『何にも属していない=自由である』と切り替えることができ、今では不安を解消できています。
自由であることの尊さを実感できたことで、会社勤めへの固定観念を打破することができたのだと思います。
退職してみて、以前とは違った充実感を感じることができています。
会社員時代は、『退職したら寂しさを感じたり、日々の生活が退屈になったりするのかな』と想像していましたが、逆でした。時間に追われることなく、その時やりたいことに集中できるので、とても心が満たされています。(そんな大それたことでは無くて、アイロンをかけたり、新しいレシピを作ってみたり、話題の本を読んでみたり、夫とNetflixを見たり。)
忙しく働いていた頃をたまに思い出して、『あの頃は、仕事に全力だったな』と心の中で褒めています。もう今ではいい思い出です。
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